私がRICOH GRを偏愛する理由について考えてみた

私のメインカメラはEOS 5D mark III (5D3) ですが、普段必ず持ち歩いているのはRICOH GRです。購入して3ヶ月ほどになりますがこれがとにかく素晴らしい。5D3についてももちろん語りたいことはいっぱいあるのですが、今回はGRのどこが好きなのか語らせてもらいたいと思います。自分でもなんでこんなに好きなのかよくわからないので、一度はっきりさせたいと思いまして(笑)。

GRはどのようなカメラか

GRはRICOHのコンパクトデジタルカメラです。もともとRICOHはGR1というフィルムカメラを発売しておりましたが、2005年からはGR digitalという単焦点デジタルカメラを2年毎に発表していました。センサーサイズは1/1.8と小さいですが、28mmという焦点距離との組み合わせで得られる被写界深度の深さと、センサーに最適化されたレンズで得られる高画質が特長で、スナップの大家である森山大道先生が使用されているということも相まってコアなファンに人気の機種となりました。

GR digitalは結局4まで発売されましたが、GR digital 5が発売されるべき年(2013年)に発表されたのは”GR digital 5”ではなく”GR”でした。名前から”Digital”とナンバリングを外して新たに生まれ変わったのです。最も大きな変更点はセンサーサイズがAPS-Cに大型化したことです。これに伴い、ボケを活かした表現が可能となりました。以下、その特長をGRの公式サイトから引用させてもらいつつ紹介しましょう。

コンパクトサイズの表現限界を超える描写力

GRはAPS-CサイズのCMOSセンサーを搭載したデジカメの中では世界最小のデジタルカメラです(2013年発売当時)。APS-Cサイズのセンサーを有するため高感度に(コンデジとしては)強く、また開放F2.8のレンズは搭載センサーに最適化されており非常に高い解像力と描写力を誇ります。解像力に関してはセンサーがローパスフィルターレスであることも関係していると思いますが、各種収差を抑えた非常に素直な描写をする素晴らしいレンズです。

インスピレーションに呼応する高速レスポンスと操作性

GRは起動時間が1.0秒、AFが平均0.3秒と非常にレスポンスがよいカメラです。GR digitalシリーズからユーザーの意見を積極的に取り入れてファームウェアのアップデートを繰り返しており、その操作性もGRに受け継がれています。私が特に感心したのはフルプレススナップという機能です。これは、シャッターボタンを半押しせずに一気に押し下げると、予め設定しておいた焦点距離(1m, 1.5m, 2m, 2.5m, 5m, ∞)でシャッターを切れるというもので、瞬間的な撮影が必要となるスナップ写真では大変に便利な機能だと思います。

創作意欲を掻き立てる、多彩な表現力

GRではワーキングディスタンス10cmでのマクロ撮影が可能です。GR digitalでは1cmまで寄れたので、センサーサイズの大型化にともなってワーキングディスタンスが伸びてしまったことを嘆くファンもいるらしいですが、個人的には10cmまで寄れれば十分だと思います。(最大撮影倍率は0.2倍)。私が特に気に入っているのはNDフィルターを内蔵している点です。内蔵というのがポイントで、NDフィルターの使用をオートに設定しておけば明るすぎる環境下では自動的にオンとなり、日中でも安心して開放で撮影ができます。一眼レフ機のようにレンズにつけたり外したりしなくても良いのです。また、35mm/47mmクロップモードがあり、(見かけの)換算焦点距離が35mm/47mmになるようにクロップすることができます。単なるトリミングではありますが露出とオートホワイトバランスはトリミング後のもので行われるので単に28mmで撮影してからトリミングするのとは使い勝手が大きく異なります。さらに、さまざまなエフェクトが選べます。私は個人的にはカメラに内蔵されているエフェクトを使うことはなかったのですが、これの出来がかなり良く、コントラストやシャープネスを細かく設定することも可能なのでよく使っています。

まとめ

ごちゃごちゃと書きましたが、カタログスペック的なことはどうでもよいんです。GRは、① 換算28mmという広角気味の単焦点レンズを有し、② 非常にコンパクトであるにも関わらず高画質で、③ レスポンスが良くさっと出してぱっと撮れる、「最強のスナップシューター」なのです。このキャッチフレーズはGRの本質を良く捉えています。使っているとしみじみとわかるのですが、このカメラには「最高の」ではなく「最強の」という言葉が妙にしっくりきます。

GRはどんなカメラでないか

GRの不思議な魅力を語るにはGRがどんなカメラでないかについても語る必要があります。GRは決して便利なカメラではありません。手ぶれ補正は付いていませんし、レンズは単焦点で光学ズームもできません。

GRは標準の画角をもつカメラではありません。焦点距離は35mm換算で28mmで、広角の範疇に入ります。これは自然な視野をそのまま写してしまうような画角で、印象的な部分を切り取るのにはあまり向いていません。写したくない部分まで写ってしまうことも多いでしょう。

GRは初心者にとって使いやすいカメラではないかもしれません。オートモードこそありますが、ファンクションキーのカスタマイズやコントラストやシャープネスの細かい調整をして自分好みの設定を作り上げていくに連れて手に馴染んでいくようなカメラです。

それでもGRを好きな理由

硬派なカメラ

GRはとにかく硬派なカメラです。見た目もシンプルでかっこいいですし、ずっと触っていたくなるような確かな重みと手触りがあります。所有欲を満たしてくれるとでも言いましょうか…。でも大事に飾っておきたくなるような感じではなくて、使い倒してやりたいと思わせるような道具としての迫力があります。

硬派なのは筐体だけではありません。設定できるモードもオートモード、Pモード、マニュアルモード、絞り優先モード、シャッタースピード優先モードのほか、TAvモードを備えています。TAvモードはシャッタースピードと絞り値を選択してISOを自動で決定するモードで、もともとペンタックス機の特長でしたが、RICOHがペンタックスを買収したことによってGRにも搭載されたようです。同じ機能はキヤノンではEOS 1DXでファームウェアアップデートによって(マニュアルモード時のISOオートとして)実現されているのみであり、一眼レフのフラッグシップ機ですら発売当時にはできなかったことがさらっとできるのも魅力の一つです。

硬派といえば28mmの単焦点レンズという点にもう一度触れずにはいられないでしょう。カメラの世界では50mmが標準とされ(最近は35mmというのもスタンダードですが)、28mmというのは若干広角気味の焦点距離です。しかしながらこの焦点距離はスナップ撮影では王道とも言われ、GRシリーズはずっと28mmの伝統を守ってきました。28mm一本勝負。しかし慣れてくると、この焦点距離がスナップに向いているという意味がわかってきます。まず、とっさの時に被写体を画角内に収めることができるので取り逃すことが少ない。また、広角故に被写界深度は深くなり、ピントを外すことも少なくなります。人物を撮るときにも広く背景を取り入れることができるので状況を説明しやすくなります。

広角単焦点という(ある意味での)不便さをカメラ自体の使い勝手の良さで補いながら撮影することで、考えながら、しかしテンポよく撮影を続けることができます。

使い勝手の良さ

RICOHはGRの開発に力を入れていて、発売したあともユーザーの意見を積極的に取り入れてファームウェアアップデートを続けることで知られています。GR digitalのときには、新機種が発売された後も旧機種のアップデートが続けられていたほどだそうです。しかもそのアップデートはバグフィックスやマイナーチェンジといったレベルのものだけではなく、新しいエフェクトの追加といった大掛かりなものを含みます。上述した45mmクロップもユーザーの意見を反映して後から追加された機能です。

このようなフィードバックとアップデートのサイクルはソフトウェアだけでなくハードウェアにも及んでおり、撮影時の使い勝手はGR digitalの発売から10年近くを経て大変洗練されたものになっています。とにかく撮っていて気持ちがよく、どんどん撮らせてくれるカメラだと思います。

描写の良さ

私のように一眼レフ機をメインカメラとしていながらも普段持ち歩くことはできない人間にとって、GRは非常に写真の勉強になるカメラです。一眼レフカメラを持っている方なら、通勤のときなどに、あぁ、いい景色だなぁ、今カメラが手元にあればなぁと思ったことがあると思います。軽量コンパクトなGRならいつでも持ち歩けるし、一眼レフ機と同じようにISO感度、絞り値、シャッタースピード、ホワイトバランスなどのパラメータを設定して撮影ができます。写りは折り紙つきですので、後で見直すことでどこが良かったのか、悪かったのかを学ぶことができます。気軽に楽しく撮影できると撮影枚数が増え、撮影枚数が増えると撮影技術が向上します。最近はスマートフォンのカメラの写りもかなり良いですし、私も以前は手元にカメラがないときはスマホで撮影していましたが、スマホで撮影しても楽しくないですし技術の向上にはつながりにくいということは予測に難くないでしょう。

一緒にスナップ写真を始めませんか?

私は旅行時の思い出をきれいに残したくて写真を始めましたが、今では日常生活の中にも魅力的な被写体や面白いシャッターチャンスが多く転がっていると感じています。むしろ、日常生活の中にこそ「自分にしか撮れない」写真を撮るチャンスが有るのだと思います。手にGRを携えて歩くだけで、自分が「撮影モード」に切り替わって、いつもの道が違って見えてくるし、季節の変化にも敏感になってきます。通勤が憂鬱な雨や雪の日も、いつもと違う景色が見れると思うとワクワクすらしてきます。

よかったら一緒にスナップ写真を始めませんか?

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(2015年6月28日追記)

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また、GRで撮ったスナップを月ごとにアップしています。それぞれの月へのリンクは以下のページにまとめてあります。メニューから撮影記→GRスナップを選択して頂いても同じページにアクセスできます。

(追記終わり)

下のムック本を読んでさらにGRが好きになりました。