【初心者のための写真撮影講座】2. レンズをどうする?

友に捧げる【初心者のための写真撮影講座】、前回の続きです。前回は、これからカメラを始めようという方がどのようなカメラを購入すればよいのかということを説明しました。ポイントは以下の3点でした。

  1. レンズ交換式カメラにする
  2. センサーサイズは画質・感度と重量・価格との兼ね合いで決める
  3. メーカーはどれでも良いが実際に触ってみてしっくり来るものを選ぶ

今回は、購入したカメラに取り付けるレンズはどう選べばよいのかということを説明しようと思います。せっかくレンズ交換式カメラを購入するのですから色々なレンズの魅力を楽しみましょう。

レンズを選ぶ際に重要な4つのポイント+α

レンズを選ぶ際に参考にすべき要素が主に4つ(+α)あります。まずはそれを順に説明しましょう。

焦点距離

レンズには焦点距離があります。単位はmmです。距離の単位ですが、焦点距離はレンズの画角を決めます。画角というのは写真に映り込む範囲(角度)のことで、焦点距離が長いほど画角は狭く(望遠に)、短いほど広く(広角に)なります。

大体50mm前後の焦点距離が標準と呼ばれ、自然な(目で見た感じに近い)写真が撮れます。大体35mm以下は広角、100mm以上が望遠と呼ばれますが絶対的な定義ではありません。下図からもわかるように、広大な風景を収めたいときは広角が、ポートレートやスポーツには望遠が、記念写真やスナップには標準が適しているとされますがもちろんこれを使わなければいけないというわけではなく、焦点距離に応じていろいろな表現を楽しめます。

 

FocalLength

キヤノンホームページより転載

焦点距離を語る上で忘れてはならない(そして混乱を招きやすい)のは、焦点距離が同じでもセンサーサイズによって画角が変わるということです。センサーサイズの違いを示した前回の図を思い出していただくと、同じレンズでもAPS-Cではフルサイズよりも写る範囲(画角)が狭くなることがわかると思います。画角が狭くなるということは見かけの焦点距離が長くなるということなので、あるレンズをAPS-Cやフォーサーズのカメラに取り付けた時の画角をフルサイズのカメラに取り付けた時の画角と比較するためには、レンズの焦点距離を長くして考える必要があります。これを35mm換算(フルサイズ換算)の焦点距離と言います。35mmという距離が出てくるので混乱を招きやすいのですが、この35mmというのはフルサイズセンサーの大きさのことであり、レンズの焦点距離とは関係ありません。

35mm換算の焦点距離は、APS-Cの場合は1.5倍(ニコン、ソニーなど)または1.6倍(キヤノン)に、フォーサーズの場合は2倍にすると得られます。つまり、キヤノン製のAPS-Cのカメラを使っている場合には、焦点距離50mmのレンズのフルサイズ換算の焦点距離は(50×1.6=)80mmとなり標準と望遠の間(中望遠域と言います)に近づきますし、焦点距離35mmのレンズは(35x=1.6=)56mmとなり標準域の画角となります。

レンズ購入の際は、自分のカメラのセンサーサイズを把握した上で、35mm換算の焦点距離で考えましょう。

開放F値

レンズの性質を表す上で大切なもう一つのパラメータは開放F値(開放絞り値とも呼ばれます)です。開放F値はレンズの明るさを示し、F1.2, F2.8, F4などと表記します。しかし、レンズの明るさと言われてもよくわかりませんよね。レンズ自体が光るわけでもないですし。ここでいうレンズの明るさというのは、そのレンズがいかに効率よく光をセンサーに届けられるかという意味です。効率よく光を集められると、暗がりでも写真を明るく撮ることができるので、明るいレンズと言うのです。多分。

開放F値は小さいほど「明るい」レンズとなります。明るいレンズは上で述べたように暗いところで写真を撮るということの他、ボケを大きくするのにも有効です。一眼レフっぽい、背景がとろけるようにボケた写真を撮るには、開放F値の小さい、明るいレンズがあると有利です。開放F値が小さいほど一般にレンズの価格は高く、重量は重くなります。

ズームか単焦点か

レンズはズームレンズと単焦点レンズに分けられます。ズームレンズとは、焦点距離が可変のレンズのことです。レンズのリングを回すと焦点距離が望遠側に伸びたり広角側に縮んだりします。一方、単焦点レンズとは焦点距離が変えられないレンズのことです。単一の焦点距離だから単焦点というのでしょう。これだけ聞くと焦点距離が変えられるズームレンズのほうが便利なように聞こえるかもしれません。便利さで言えば実際にそうなのですが、焦点距離を変えられない分、単焦点レンズは開放F値を小さくできたり、画質がズームレンズより良かったりするので、表現力という観点では単焦点レンズのほうが上だと言えると思います。

ズームレンズを選ぶ際には、ズーム倍率がひとつの目安となります。ズーム倍率とは、ズームできる焦点距離の比(望遠端の焦点距離÷広角端の焦点距離)のことで、例えば55mmから250mmまで焦点距離が変化するズームレンズのズーム倍率は約4.5倍、18mmから55mmまでのレンズでは約3倍となります。一概には言えませんが、一般にズーム倍率が大きくなるほど画質は低下します。便利なほど犠牲になるものがあるということですね。単焦点レンズはズーム倍率が1のレンズと見ることもでき、このことからも単焦点レンズの画質が良いということがわかると思います。

ズームレンズを選ぶ際にもう1点気をつけなければいけないのは、ズームによって開放F値が変化するレンズがあるということです。開放F値が変化するレンズはキットレンズなどのやや安価なものに多いです。一般に広角側で開放F値が小さく、望遠側で開放F値が大きくなります。開放F値がズーム全域で一定のレンズをF2.8通しのレンズなどと言い、一般に値段もややお高めとなります。開放F値が一定のほうがズームに伴う開放F値の変化に煩わされずに済むのでやや便利ですが、最初はあまり気にすることはないでしょう。

APS-C専用かフルサイズ対応か

ちょっと細かいことですが、レンズには対応するセンサーサイズがあります。APS-C専用のレンズの場合、APS-C機でしか使えません。例えばキヤノンのAPS-C機であるEOS 70Dを持っている方が、新たにレンズを買うとします。このときAPS-C専用のレンズ(キヤノン純正の場合名前がEF-Sから始まるレンズ)を購入してしまうと、もちろん今持っているEOS 70Dでは使えるのですが、将来フルサイズのカメラを購入した時に、そのレンズは使えません。逆にフルサイズ対応のレンズ(キヤノン純正の場合名前がEFから始まるレンズ)はAPS-C機にも使えます。したがって、自分が将来フルサイズ機を購入する可能性があるかどうかでレンズ選びも変わってきてしまうのです。

どっちにも使えるのだから常にフルサイズ用を購入しておけばいいのではと思われるかもしれませんが、以下の3つの理由により事態は複雑になってしまうのです。

  1. フルサイズ用のレンズは高い
  2. フルサイズ用のレンズは大きく重い
  3. フルサイズ用のレンズはフルサイズ機に付けた時に最適な焦点距離になっていることが多く、APS-C機に取り付けると画角が狭くなってしまう

その他

レンズにはその他にも様々な機構が存在します。例えば手ぶれ補正。これがあると撮影の時に手が震えることによって生じるブレを抑えてくれ、成功ショットが取れる確率が高まります。

またAFの有無とAFモーターの種類。AFというのはオートフォーカスの略で、自動的にピントを合わせる機構のことです。これがない場合にはMF(マニュアルフォーカス)と言って、自分の目で見ながらフォーカスリングを回してピントを合わせなければいけません。MFはMFで便利な面もあるのですが、AF機構を搭載しているほとんどのレンズでMFもできるのに対し、AF機構のないレンズでは常にMFをしなければならず、初心者には敷居が高いかもしれません。AF機構を搭載していても、レンズを動かすためのモーターの種類がいくつもあり、ピントを合わせる時のスピードや音のうるささが異なります。

さらに、最短撮影距離も大事です。ピントを合わせることができる最短の距離はレンズによって異なります。これより近くにある被写体にはピントを合わせることができません。例えば最短撮影距離が50cmのレンズでは、センサーから(レンズの先端からではありません)50cmより離れないとピントを合わせられないのです。この場合、例えばテーブルに座った状態で料理の写真を撮ることは難しいでしょう。ちょっと立ち上がったり椅子を引いたりしなければいけなくなります。レンズを購入するときには最短撮影距離が自分の撮影スタイルに合っているかということも大事になったりします。

他にもレンズの材質コーティングによって画質が変わったり、最大撮影倍率によってどれだけ大きく撮れるかが変わってくるのですが、最初はとりあえず上の3つを抑えておけばよいでしょう。

まずは幅広い画角をカバーするようにレンズを揃える

焦点距離によって画角が変わると言われても、自分がどの焦点距離で撮るのが好きかというのは事前にはなかなか分かりません。そこで最初は、なるべく幅広い画角をカバーするようにズームレンズを揃えるといいでしょう。もちろんいきなり単焦点レンズを買ってその焦点距離で勝負するというのも面白いのですが、とりあえず幅広い画角に対応できるようにしておけばいろいろな状況に対応できます。

一番のオススメは、カメラ購入時にレンズキットを購入することです。レンズキットは最初に必要となるであろうレンズをカメラ本体と同梱したセットのことで、ダブルズームレンズキットでは2本の、トリプルズームレンズキットでは3本のズームレンズがカメラと同時に入手できます。同じレンズを単体で購入するよりもレンズキットとしてカメラ本体と一緒に購入したほうが安くなるので、これからカメラを始めようという方はとりあえずレンズキットを購入しておけば間違いないでしょう。

例えば前回おすすめした以下のレンズキットではEOS 70DにEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMというレンズが付いてきます。名前からわかるようにこのレンズは焦点距離が18mmから135mmに変化するズームレンズです。そのズーム倍率は7.5倍でやや大きめなので画質にはちょっと妥協していると言えます。一方で、広角端の18mmはフルサイズ換算で28.8mm、望遠端の135mmはフルサイズ換算で216mmと、上の図に示している範囲を1本でほぼ網羅している、便利なレンズです。EF-Sとあることから分かるように、このレンズはAPS-C機専用です。EOS 70DはAPS-C機ですから問題無いですが、将来フルサイズ機を購入することがあるとすると、そのフルサイズ機にこのレンズを取り付けて使うことはできません。ISというのはImage stabilizerの略で、キヤノンの手ぶれ補正機構の名前です。STMというのはステッピングモーターと言われるAFモーターのことで、比較的静かで素早いAF機構が備わっています。

また前回おすすめしたもう一つのレンズキットでは、EOS Kiss X7iに3本のズームレンズが付いています。1本目は10-18mmでフルサイズ換算16-28.8mm、2本目は18-55mmでフルサイズ換算28.8-88mm、3本目は55mm-250mmでフルサイズ換算88−400mmと、上のレンズより広い範囲を3本のレンズでカバーしています。またそれぞれのレンズのズーム倍率も1.8倍、3倍、4.5倍と比較的小さく、レンズを取り替える煩雑さの代わりに画質を重視した構成と言えます。

 

単焦点レンズを楽しむ

キットレンズで自分の好きな画角がわかったら、ぜひ単焦点レンズを購入してみてください。オススメは35mmや50mmなどの標準画角付近の大口径レンズ(開放F値が小さいレンズ)です。キットレンズを使ってから単焦点レンズに移るとその描写の素晴らしさに感動できると同時に、使いこなし方も身についているはずです。

キヤノンでしたら大正義EF50mm F1.8 IIがあります。実売価格9000円とお求めやすい価格ですが写りはよく、人々をレンズ沼に引きずり込む「撒き餌レンズ」として有名です。とりあえず買っておいて損はないでしょう。

またEF40mm F2.8 STMは比較的設計が新しく、AFモーターがSTMなのでAFが静かで早いです。実売16000円程度。パンケーキレンズと言われる薄いレンズで、カメラに取り付けた時の取り回しが大変しやすくなります。

サードパーティを含む各社によい単焦点レンズがありますのでぜひ検討してみてください。個人的にはSIGMAのArtラインのレンズが非常に写りが良いので好きです。35mm F1.4を持っていますが、50mm F1.4も欲しい。

とにかく撮りまくれ!話はそれからだ。

いろいろと書きましたが、要するにまずはレンズキットを買って、写真を撮りまくれってことです。最初っからあれこれ考えてもしょうがない。始めて見ないとわからない。撮りまくれば、そのうちキットレンズのどこかに不満が出てくる。もうちょっと寄って撮りたい、もうちょっと望遠が欲しい、もっと暗いところでも撮りたい、もっとぼかしたい、もっと美しく撮りたい、もっとAFの食いつきがよいといいのに、、、などなど。そうしたら、その時点でその要望を満たしてくれるようなレンズを買えばいいのです。そのときには、自分がレンズの性能のどこに価値を見出しているのかがはっきり分かり、納得の上でレンズを購入できるようになるでしょう。人はそれを沼の入り口といいます(笑)でも、楽しい沼です。では、今日もCapture the MOMENT!

(追記)

続きを書きました。

【初心者のための写真撮影講座】3. まずは全自動モードで何が「できない」のかを知ろう

2015.01.26

(追記ここまで)