【初心者のための写真撮影講座】3. まずは全自動モードで何が「できない」のかを知ろう

初心者のための写真撮影講座第3弾です。思いの外反響が大きくてうれしいです。第1回第2回はカメラとレンズの選び方について書きましたが、用語説明が多くて大変だったかもしれません。ざっくりまとめると、「キヤノンでもニコンでも一眼レフでもミラーレスでもいいからレンズ交換式カメラを買いましょう。その際最初はレンズキットを買って幅広い画角を抑えましょう」ということを書きました。では今回はいよいよ実際に撮影をしてみましょう。お手元にカメラとレンズを用意して読んでみてくださいね。

写真を撮るときに考慮すべき要素

カメラには撮影モードが有ります。多くの場合モードダイヤルというものが付いていて、それを回してどのモードで撮影するかをセットします。ミラーレスの場合にはタッチパネルから選ぶものもあるかもしれません。モードダイヤルが見当たらない場合には、ご自分のカメラの説明書を参照してモード選択の仕方を覚えてください。

ModeDial

キヤノンEOS Kiss X5の説明書より転載

モードダイヤルには幾つものモードがあって、最初は混乱するかもしれません。各モードの使い分けについてはこれから説明していきますが、まずは、モードを切り替えることによって何が変わるのかを説明させてください。

下の表を見てください。横方向に、写真を撮るときに考慮すべき要素を並べて書きました。構図は、何をどこに配置して撮るかということです。当たり前ですね。ピント位置とは、写真の中のどの被写体にピントを合わせるかということです。WBはホワイトバランスの略で、光源の色温度を設定するもので、写真全体が青みがかったり赤みを帯びたりするのを補正したり、表現のために敢えて加えたりするためのパラメータです。ピクチャースタイルはよく絵作りなどとも言われますが、風景やポートレートなど、シーンに応じて色合いを変化させるためのものです。ちなみにこれはキヤノン用語で、ニコンではピクチャーコントロール、オリンパスでは仕上がり、ソニーはクリエイティブスタイルなどと呼ばれます。絞り値シャッタースピードISO感度は3つ合わせて写真全体の明るさ(露出)を決定します。

最後の3つは特に大事なので別の記事で更に詳しく説明しますが、絞り値はレンズの絞りの開き具合を、シャッタースピードはシャッターが開いている時間の長さを、ISO感度はセンサーが光を感受する感度を決めます。絞り値が小さいほど(絞りを開いているほど)、シャッタースピードが遅いほど(シャッターを開いているほど)、ISO感度が高いほど(センサーの感度が高いほど)、写真全体が明るくなります。さらに絞り値は前景および背景のボケ具合に、シャッタースピードは動く被写体のブレ具合に、ISO感度は写真の画質にも影響するので、これらのバランスを考えながら自分の思い通りの表現ができるように設定する必要があります。

ModeSelection

細かいことはおいおいお話することにして、各モードにおいて撮影者は何をして、カメラは何をしてくれるのかを見てみましょう。上の表を上から順に見て行きましょう。

オートモードでは構図を自分で決めれば、後は全てカメラがやってくれます。レンズを向けて、シャッターボタンを押すだけです。超簡単。構図だけを考えればよいので楽です。上のEOS Kiss シリーズの例で言うと、シーンインテリジェントオートモードのことです。

Pモードはプログラムモードの略で、少しやれることが増えます。機種や設定にもよりますが、WBやピクチャースタイル、ISO感度を自分で決めておけば、適当な絞り値とシャッタースピードをカメラが判断してくれます。面倒ならこれらはオートにすることもできます。オートモードでは設定を変えることすらできませんが、Pモードではオートにする自由があるということです。またフラッシュ使用の有無なども自分で設定できるので、オートモードよりは撮影者が自分で設定できることが増えます。ピント位置も自分で決めることができます。

次はシャッタースピード優先モードです。キヤノンではTvモード、ニコンではSモードと呼ばれます。それぞれTime value, Shutter speedの略です。プログラムモードとほぼ同じですが、シャッタースピードを撮影者が決めて、絞り値をカメラに任せるモードです。

次は絞り値優先モードです。キヤノンではAvモード、ニコンではAモードと呼ばれます。どちらも絞り値Aperture valueの略です。シャッタースピード優先モードとは逆に、撮影者が絞り値を決めると、カメラがシャッタースピードを決めてくれます。

最後はマニュアルモードで、Mモードとも呼ばれます。これは全てを撮影者が決めます。オートモードの正反対ですね。決めることが多いので大変ですが全てを自分でコントロールできるので使いこなせれば思い通りの結果が得られます。

まずは全自動モードで撮ってみる

全自動モードは、最近のカメラであればほぼ間違いなく備えているでしょう。風景、スポーツ、ポートレートなどシーンごとに別れているかもしれませんが、最近はシーンの判断すらカメラが行ってくれる完全自動モード(キヤノンの場合シーンインテリジェントオートモード)があることが多いです。初心者の方にも簡単に使ってもらえるよう、各メーカーが腐心して作りこんでおり、使い勝手は年々進化していっているようですが、やはりオートではできないことが多々あります。まずはそれを体験してもらいましょう。

モードダイヤルをオートモードに合わせて、ファインダーを覗き(または背面液晶を見て)シャッターボタンを押してみましょう。被写体はなんでもいいですが、机の上に物をいくつか置いてみるといいと思います。撮れましたか?撮れない場合のトラブルシューティングを次のセクションにまとめましたので、撮れない!という場合は先にそちらを読んでみてください。

R0002784

上のような写真が撮れたでしょうか?(ちなみにこれはピントが合ってない失敗写真例です)今していただいたのは、ただシャッターボタンを押すということだけでしたが、この間にカメラの中で何が起こっているのでしょうか。まず、シャッターボタンが2段階に押せるようになっている事に気づきましたか?1段階目(シャッターボタン半押しと言います)と2段階目(シャッターボタン全押しと言います)に分けて、それぞれ何が起きているのかを説明しましょう。設定はデフォルトのままで、一般的なセッティングを仮定します。

シャッターボタンを半押しすると、そのときの撮影範囲でピント合わせ、測光と露出の決定、WBの決定、(およびピクチャースタイルの決定)が行われます。

  1. ピント合わせとは、上述したように撮影範囲内(シャッターを切った時に写真に映る範囲。ファインダー越しに見える光景とほぼ同じです)のどの被写体にピントを合わせるかを決め、その被写体にピントを合わせることです。
  2. 測光とは撮影範囲の明るさを測定することで、露出の決定とは、写真が適切な明るさになるように上の3要素(絞り値、シャッタースピード、ISO感度)を決めることです。
  3. WBの決定とは、撮影範囲に含まれる白い部分を白く写すように色温度を設定することです。
  4. ピクチャースタイルの決定は、シーン(ポートレイト、風景、スポーツ、夜景など)すらも自動で判断するような全自動モードで行われます。撮影者がシーンを選ぶようなオートモードでは半押しする前から予め決まっているかもしれません。
このあとシャッターボタンを全押しすると、シャッターが切られて、半押し時に決定した設定で写真が撮られます。半押しで設定を予め決めさせておいて、全押しで撮影のタイミングを決定するという感じですね。

撮れない!というときは…。

さて、全自動とは言うもののどうしても撮れない(シャッターが切れない)ということがあります。いくつかの理由が考えられますが次のようなことをチェックしてみてください。

近すぎる

前回ちょっと書きましたが、レンズには最短撮影距離というものがあります。あまりにも被写体に近すぎるときはピントが合わせられません。全自動モードでは通常ピントが合わないとシャッターが切れないので、被写体に近寄りすぎるとシャッターが切れません。おかしいな、と思ったらちょっと下がって撮ってみてください。キットレンズは最短撮影距離があまり短くないものが多いので、例えばレストランで座ったままテーブルフォトを撮ろうと思ってもシャッターが切れず、椅子を引いたり立ち上がったりしなければならないことがあります。これはスマホやコンパクトデジカメでの撮影ではあまりないことなので、初心者の方が気づきにくい点だと思います。

AFになっていない

カメラがピント合わせをすることをオートフォーカス(AF)、手動でピント合わせをすることをマニュアルフォーカス(MF)と言いますが、レンズ交換式カメラの場合、AFとMFの切り替えスイッチは通常カメラではなくレンズに付いています。何かの拍子にこのスイッチがMFになってしまっていると、いくらシャッターボタンを半押ししてもぴくりとも言わず、シャッターが切れないことになります。下がってもシャッターが切れない時は、レンズのフォーカスモードスイッチをAF側にしてください。下の図のような感じで、レンズの側面にスイッチが付いているものが多いと思います。

Lens switch

キヤノンEOS Kiss X5の説明書より転載

AFができない

被写体が最短撮影距離よりも遠くにあって、AFがオンになっていてもシャッターが切れない場合、被写体が遠すぎる上に暗いためにAFができない、または被写体のコントラストが低くAFができないということが考えられます。全自動モードでは暗い場合には勝手にフラッシュがポップアップして、その光を利用してAFを行おうとしますが、フラッシュの光が届かないほど遠くのものを撮ろうとしていた場合にはAFができず、その結果写真が撮れません。また、コントラストの低い(明暗差の小さい)被写体(例えば白い壁など)を撮ろうとしてもAFが効かず、結果として写真が撮れません。

その他

全自動モードで写真が取れないほとんどの場合は以上の3つのどれかだと思いますが、他にもSDカードが入っていないとか、電源が切れているとか言った理由が考えられます。以上の3点で解決しない場合には説明書をよく見直してみましょう。

全自動モードではこんなことができない

さて全自動モードでとりあえず写真が撮れるようになりました。条件が合って全自動モードがうまく働けば、何も考えなくても一眼レフ画質の写真が撮れることでしょう。しかし、しばらく使っているとすぐ不満や問題点が出てくるようになります。それは例えば以下の様なものです。

狙ったところにピントが合わせられない

机の上に物を並べて撮った場合、通常カメラは最も近いものにピントを合わせようとします。したがって、奥の物だけにピントを合わせたような下のような写真を全自動モードで撮ることは難しいです。例えば、動物園で檻越しにライオンを撮ろうとした時に、柵にピントが合ってライオンはピンぼけ、といったような悲しい写真が撮れてしまいます。逆に、自分でピントの位置がコントロールできれば上の失敗写真も下のように撮ることができます。

R0002783

なんか暗い/明るい

写真の露出を決める3つの要素(絞り値、シャッタースピード、ISO感度)をカメラが全て決めてくれるため、写真全体の明るさはカメラまかせになってしまいます。そのため、写真が不自然に暗かったり明るかったりすることが多々ありますが、全自動モードではそれを自分の思い通りに修正することはできません。

ボケ方・ブレ方をコントロール出来ない

一眼レフで撮った写真というと、背景がボケた写真を想像する方も多いと思いますが、全自動モードではそのボケ具合を自分でコントロールすることができません。また、例えば車や電車の写真で被写体がピタッと止まっていて背景が流れているような写真を撮ろうと思った時に、そのブレ具合をコントロールすることもできません。上で少し触れたように、ボケ方とブレ方はそれぞれ絞り値とシャッタースピードで決まりますので、撮影者がそれを明示的に設定することができない全自動モードではコントロールが難しいのです。

オートモードは卒業し次のステップに進もう

ではこれらのパラメータを自分で設定し、意図した通りの写真を撮るためにはどうすればよいのでしょう?そのためには、オートモードを捨て、次のステップに進まなければなりません。それは、プログラムモード(Pモード)です。上の表をもう一度見ていただくと分かるように、Pモードでは少しできることが増えます。その結果、上の問題点のうち最初の2つ(狙ったところにピントが合わせられない、なんか暗い/明るい)を自分で自在にコントロールできるようになります。(もちろんプログラムシフトを使えば3つ目も解決できるのですが、まあAvとTvで扱ったほうがわかりやすいので今はそういうことにしておいてください)

そこで次回は、Pモードでの撮影について説明していきたいと思います。とはいえ、全自動モードとPモードは、上の表で「オートも可」となっているところがオートになっている限りはほとんど同じです。モードダイヤルをPモードに合わせて、いっぱい写真を撮っておいてください。それでは、今日もCapture the MOMENT!

(追記)

続きを書きました。

【初心者のための写真撮影講座】4. Pモードで露出補正を習得しよう

2015.02.15

(追記ここまで)