【初心者のための写真撮影講座】4. Pモードで露出補正を習得しよう

初心者のための写真撮影講座第4回です。これまでの講座をご覧になってない方は以下を先にご覧ください。

【初心者のための写真撮影講座】1. カメラを買おう

2015.01.05

【初心者のための写真撮影講座】2. レンズをどうする?

2015.01.14

【初心者のための写真撮影講座】3. まずは全自動モードで何が「できない」のかを知ろう

2015.01.26

前回は、オートモードで撮影を行って、オートモードでは様々な「不便なこと」が起こるということを説明しました。これは主に、カメラの「こう撮るべき」という判断と、撮影者の判断が異なることに由来します。これを修正するためには、カメラに「こうしてくれ」と伝えなければいけないのですが、オートモードではほぼ全てのパラメータの設定をカメラまかせにしているため、修正が難しいという問題がありました。今回はプログラムモード(Pモード)という別のモードを使って少しだけ自分の意図を反映した写真を撮ってみようというお話です。

露出補正についてもう一度

写真の全体の明るさのことを露出ということを前回までに説明しました。また、露出は絞り値とシャッタースピードとISO感度の組み合わせで決まるということも説明しましたね。

よく使われる例えですが、これは蛇口からコップに水を貯めるところを想像するとよく理解できると思います。蛇口はレンズに、水は光に、コップはフィルムやイメージセンサーに、コップの大きさがISO感度に、それぞれ対応します。蛇口を開いて(絞りを開いて)、水を(光を)コップに貯める(センサーに当てる)という感じですね。

コップに8分目まで水を注いだ状態を「ちょうどいい」としましょう。写真では、「ちょうどいい」量の光がセンサーに当たった状態を(カメラの)適正露出と言います。コップに「ちょうどよい」量の水を注ぐためには、蛇口をどれくらい開けて、どのくらいの時間水を注ぐかが重要ですよね?蛇口を大きく開けば短時間で済むし、蛇口をちょっとしか開かなければより時間がかかるでしょう。写真も同じで、ちょうどいい露出を得るために絞りを開いて短い時間で済ませたり、絞りを絞って長い時間をかけたりといったように調節することができます。

またより大きなコップに「ちょうどいい」量の水を入れるためには、蛇口を大きく開けたり時間を長くしたりする必要がありますよね。これは写真では、ISO感度を小さくすると同じ露出を得るためには絞りを開けたり時間を長くして調節する必要がある、ということに対応します。

大事なことなのでもう一度言いますが、露出は絞り値とシャッタースピードとISO感度で決まります。これを下のように書いてみましょう。

ExposureEq

他のパラメータを同じに保ったままシャッタースピードを2倍にすると露出が2倍に、ISO感度を2倍にすると露出が2倍になります。上の水とコップの例と照らしあわせて考えてみてください。ちょっと複雑なのは絞り値です。絞り値は数字が大きくなればなるほど絞りが絞られる(光が入りにくくなる)ので、露出に対する影響が逆です。絞り値が大きくなればなるほど露出は暗くなっていきますので分母にあります。また焦点距離が一定なら絞り値は絞り半径の逆数に比例するので、面積に対応させるために2乗する必要があります。絞り値が1.4倍(≒√2)になれば、露出は半分になります。ついでに説明してしまうと、露出が2倍、1/2倍になる1ステップのことを1段と言い、これに対応する絞り値、シャッタースピード、ISO感度のステップも1段と数えます。ISO感度とシャッタースピードを1段大きくするということはそれぞれを2倍することに、絞り値を1段絞るということは√2倍することに、それぞれ対応します。

くどくどと書きましたが、要するに絞り値の値だけは大きくすればするほど露出は暗くなっていくということがポイントです。もう1点、細かい話かもしれませんがシャッタースピードというのは「スピード」と言っておきながら単位は秒ですので指しているのは「シャッターが開いている時間」です。これって結構重大な混乱を招く誤謬であると思うのですがどうでしょうか。私はすごく気になってます…。

Pモードとはどんなモードか

さて上述したように露出は絞り値とシャッタースピードとISO感度で決まるので、これらを1つずつ決めていけば写真の明るさを決めることができます。実際マニュアルモードでは撮影者がこれらを自ら決めることで露出を決定します。

しかし、この3つをいちいち決めるのは大変なことも多いし、何より初心者の時は何をどうしていいかわからないでしょう。そこで、便利なモードが幾つか用意されています。ここで説明するPモードは、撮影者がISO感度を決めればシャッタースピードと絞り値はカメラが決めてくれるモードです。コップさえ用意すれば蛇口の開き方と時間は勝手に決めてくれるという感じですね。

PモードではISO感度しか決めなくて良いので楽ですが、ではそのISO感度はどのように決めればいいのでしょうか。ISO感度は大きいほど短い時間で適正露出が得られます。上の式でISO感度が2倍になれば半分のシャッタースピードで同じ露出が得られることが分かりますよね。シャッタースピードが短くなればその間に被写体が動くことによる被写体ブレと、カメラが動くことによる手ブレが抑えられますので有利な点もあるのですが、ISO感度が上がれば上がるほど画質が悪くなる(ザラザラとしたノイズが増える)という問題点があります。影響を下の図にまとめてみました。

 

ISO感度の影響

 

ISO感度は100, 200, 400, 800, 1600…といった数字で表されます。各カメラには常用ISO感度と呼ばれる、「あまりノイズが目立たないで撮影ができるISO感度」という数字が定められています。最近のカメラは高感度化が進んでおり、EOS Kiss X7iでは12800, EOS 5D mark IIIでは25600です。さらにSONYから常用ISO感度102400というモンスターカメラα7Sが発売され話題になりました。

とは言え、常用ISO感度はメーカーが独自の基準で定めているものですので、必ずしも撮影者の基準と一致するわけではありません。一度ご自身のカメラで色々なISO感度で撮影をして、どれ位のISO感度までなら許容できるかを確認してみましょう。そのやり方を次で説明します。

PモードでISO感度を変更してみよう

さて、まずはモードダイヤルをPに合わせてください。これでPモードで撮影ができます。ISO感度の変え方はカメラによって異なるので詳しくはそれぞれの説明書を参照していただきたいのですが、一眼レフカメラであればISO感度変更のためのボタンが有るはずです。

ISObotton
EOS Kiss X5の説明書から転載

では試しにISO400に設定してみてください。そのままシャッターボタンを押して撮影してみましょう。これが2段階になっていることは前回説明しましたね。

次にISO感度を上限まで上げて撮影してみましょう。拡大して比べてみると、ザラザラしていることが分かりますよね。色々とISO感度を変更して撮影してみて、自分にとってどれくらいまで許容できるか確認しておきましょう。Ricoh GRの場合は以下のようになりました。(一眼レフとミラーレスカメラについて説明しておきながらいつも参考画像がGRですみません…)

  • ISO感度を25600にセット
ISO25600
  • ISO感度を6400にセット
R0002890
  • ISO感度を400にセット
ISO400

どうでしょう?縮小画像なのでちょっと本来の比較にはなりませんが、それでもISO 25600では全体的にザラザラしていることが分かりますよね。ISO 6400まで下げるとまあまあ見れる感じで、ISO 400まで下げるとさらに良くなります。私の場合ISO 6400でもちょっとノイズが気になるのであまり使っていませんが、1段落としたISO 3200までは普通に使っています。

Pモードの挙動とISOオート

さて、上の式で示したように露出は絞り値、シャッタースピード、ISO感度の3つのパラメータで決まりますが、PモードではISO感度しか変えません。ということは残りの2つのパラメータはいろいろな組み合わせがありえるはずですが、それはどのように決められているのでしょうか?答えは、「カメラによる」です。身も蓋もない言い方ですが、カメラによってアルゴリズムが異なるのでそうとしか言えません。そういう意味で、Pモードは細かいことはカメラに任せる、半自動モードという事になります。

さらにISO感度もオートにしてしまえるので、よくわからないうちはISO感度もオートでいいと思います。慣れてきたら「ここはちょっと暗いから手ブレしそう。ISO感度を常用感度の限界である3200まで上げてシャッタースピードを稼ごう」とか、「今は三脚を立てているから手ブレのことは考えなくていい。むしろ高画質でしっかり撮りたいからISOを100に下げておこう」といった判断ができるようになると思います。しかしこの辺のことは次回以降で扱うAv(A)モードやTv(S)モードでもっと明示的に扱えるので、あまり考えなくていいでしょう。同じ理由でプログラムシフトについても割愛します。

PモードでISO感度もオートにしてしまったら全自動モードと何が違うのかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。まだ扱っていませんがPモードではホワイトバランスやピクチャースタイルを自分で決めることができますし、何より露出補正ができます。前置きがかなり長くなりましたが、これこそがこの記事の本題です。

露出補正をしてみよう

露出補正とは、カメラが考えた適正露出が、撮影者にとっての適正露出でなかった場合に、露出を増減する操作のことです。わかりやすく言うと、「暗すぎて何も見えないんじゃー」というときに写真を明るくしたり、「全体的に明るくなりすぎて顔が白く飛んじゃってるんじゃー」というときに写真を暗くしたりする操作のことです。先ほどのコップと水の例をまた持ち出すと、コップに8分目が「ちょうどいい」と判断されたけど、満タンにしたいとか、もっと少なくていいと言うときに、「もうちょっと増やして|減らして」と頼むことです。

やり方は簡単。露出補正ダイヤルを回して露出計の目盛を動かすだけです。中級機以上ならシャッターボタンを半押しして測光したあとでサブダイヤルを回すだけでできますが、サブダイヤルのない初級機の場合は+/-と書かれたボタンを押しながらメインダイヤルを回転させる必要があります。液晶画面やファインダーの中の露出計(下図で-3,-2,-1,0,1,2,3と書かれている数直線のようなもの)の目盛が動けば露出補正ができています。プラスにするほど写真が明るく、マイナスにするほど暗くなります。この1単位が1段に対応していて、通常目盛は1/3段ステップになっています。

露出補正
EOS Kiss X5の説明書から転載

注意していただきたいのは、露出補正は撮った後の写真を処理しているわけではないということです。好みの露出に設定して、その後に写真を撮る必要があります。実際的には、まずカメラの適正露出で(プラスマイナス0で)撮影してみて、もっと明るく撮りたければ露出をプラスに、暗く撮りたければ露出をマイナスに補正してから撮り直してみるといいと思います。

初級機の場合は、一度設定した露出補正の値がそのままになるので、極端な補正をしたあとは元に戻す癖を付けておくほうがいいでしょう。私は最初これを忘れていて、露出をプラスに補正したまましばらく写真を撮っていたため、その間に撮った写真が白く飛んでしまっていたことがありました。撮影結果を画面で確認していればすぐに気づくので大丈夫でしょう。

露出補正で何が表現できるか

さてこれで撮影者の意図を反映した写真を撮るための第一の武器「露出補正」を手に入れました。たったこれだけで何ができるのと言われるかもしれませんが、侮る無かれ。これが一番大事だと言っても過言ではありません。ただ「顔が暗いから明るくする」というだけではなくて、露出補正をプラスにすれば、「明るい、かわいい、爽やか、清々しい、ゆるい、楽しい」といった印象が加わりますし、マイナスにすれば「暗い、重厚な、悲しい、かっこいい、重苦しい、静謐な」といった印象が加わります(もちろんシーンによりますし、やりすぎてメインの被写体が白飛びしたり黒つぶれしたりしてしまってはダメですよ)。例えば冒頭の写真は金属の重たい・冷たい質感を出したくて2.7段(2と2/3段)マイナス補正しています。

有名な写真家である梅佳代さんは、全てPモードで撮影されているそうです。全自動モードからPモードに進み、露出補正を覚えた皆さん。ぜひいろいろと露出を変えて写真を撮ってみて、どのように変化させるとどのような写真が撮れるかを比較検討してみてください。いろいろとやってみると何段分露出補正をすると思ったとおりの露出が得られるかが体でわかってくるはずです。更に慣れてくると、カメラの適正露出(露出補正なし)で撮る前から、何段補正しておこうということが身についてきます。

次回は、ピント合わせの方法について説明していきたいと思います。

(追記)

続きを書きました。

【初心者のための写真撮影講座】5. ピント合わせを練習しよう

2015.07.04

(追記ここまで)