10人のストリートフォトグラファーの格言に学ぶ、ストリートスナップの極意とは?

ストリートフォトグラファーの皆さんこんにちは。

ストリートスナップにルールはなく、被写体は無限に存在します。もちろん肖像権やプライバシーへの配慮は必要ですが、他人の権利を侵害しない限り何を撮ってもいいのです。

ストリートフォトグラファーを名乗ることはですから誰にでも簡単にできてしまうのですが(私のように)、人とは一線を画す「良い」ストリートフォトグラファーになるのはかなり難しいんだなぁというのが最近身に沁みてわかってきました。

今回はERICK KIM BLOGの”10 Famous street photography quotes you must know”という記事を紹介しながら、良いストリートスナップ写真を撮るための極意について考えたいと思います。

10名の著名なストリートフォトグラファーの格言

上述の記事には、10名の有名なストリートフォトグラファーの言葉が引用されています。拙訳を付けながら1つずつ見ていきましょう。

あなたの写真があまり良くないなら、十分に近づいていなかったんだ。

1. “If your photos aren’t good enough, then you’re not close enough” – Robert Capa

ロバート・キャパ賞でもおなじみのロバート・キャパの言葉です。報道写真家としての一面を持つ彼ならではの言葉ではないでしょうか。とにかく近づく。物理的に距離を詰めるだけではなく、被写体との心理的な距離のことも含んでいると言えるでしょう。真髄を極めるのはもちろん難しいですが、簡単に実践できることではありますよね。私も歩いていて「あっ」と思った瞬間にカメラを向けて撮るようにしているのですが、そこからさらに近づいてみるというのを意識してみようと思います。もちろん、近づけば近づくほどいい写真になるという意味ではないので、適度な距離感が大事ですが、「近すぎ」か「遠すぎ」のどっちが多いかと言われると圧倒的に後者なはずです。

撮った時の感情は写真の良し悪しとは関係ない。

2. “Photographers mistake the emotion they feel while taking the photo as a judgment that the photograph is good” – Garry Winogrand

ギャリー・ウィノグランドの言葉。かなり意訳してしまいましたが、直訳すると「写真家は、撮影中に感じた感情を写真が良いという判断と誤解する」という意味です。これはよーく分かる気がします。「すごい」「面白い」と思って撮った写真が「すごい写真」「面白い写真」ではないというのはうんざりするほど経験があります。自分の感情を反映させるような写真を撮る用に、どこか冷静的に俯瞰している自分を意識する必要がありますね。なかなか難しいですが。

元の記事では、具体的な案として写真の評価を数日寝かせることを提唱しています。自分の中でその写真を撮った時の感情が風化してから冷静な目で写真を見直すということですね。個人的にはこれはできていると思います。できているからこそ上記のようにがっかりすることが多いんですが…。

私は口下手だから、写真で自分を表現するの。

3. “Since I’m inarticulate, I express myself with images.”- Helen Levitt

ヘレン・レビットの言葉。上のウィノグランドの言葉と繋がるところがありますね。ただ漫然と撮るのではなく、そこに自分の感情を表現するという意思・意図が大事なんでしょう。

私にとって写真は観察の技術だ。普通の場所でなにか面白いものを見つけるんだ。

4. “To me, photography is an art of observation. It’s about finding something interesting in an ordinary place… I’ve found it has little to do with the things you see and everything to do with the way you see them.” – Elliott Erwitt

エリオット・アーウィットの言葉。上記の訳は後半を割愛しています。全体は「私にとって写真は観察の技術だ。普通の場所でなにか面白いものを見つけるんだ。あなたが見ているもの自体はあまり関係なくて、あなたがそれをどう見ているかが大事なんだ。」となります。ここにも写真への自己投影というテーマがはっきりと謳われています。

シャッターボタンよりも、人の心に触れるほうが大切なんだ。

5. “It is more important to click with people than to click the shutter.”- Alfred Eisenstaedt

アルフレッド・アイゼンスタッドの言葉。こちらは「自己投影」を謳った上記2つとは違って、被写体を大切にすることの重要性を説いています。ちなみに原文は”click the shutter” (シャッターを切る)と”click with people” (いい関係を築く、意気投合する)をかけていますがうまく訳せませんでした…。でも言っていることはシンプル。撮ることに夢中になってカメラをいじるんじゃなくて、そこにいる人とのつながりや関係性を大事にするべきであるという言葉ですね。これは「言うは易く行うは難し」で、なかなか到達するのが難しい境地ではありますが、心に止めておく必要がある大切な教えです。

自分を取り巻く環境と自分自身を見つめるのは利己心を満たすためだ。

6. “I suspect it is for one’s self-interest that one looks at one’s surroundings and one’s self. This search is personally born and is indeed my reason and motive for making photographs.” – Lee Friedlander

リー・フリードランダーの言葉。これも後半を割愛しました。全訳は「自分を取り巻く環境と自分自身を見つめるのは利己心を満たすためだ。 この探索は極めて個人的なもので、私が写真を作る理由と動機もまさにそこにあるのである。」となります。これも「自分のために撮る」ということを明言した言葉ですね。現代風に表現すると、写真を撮るということはいわゆる「自分探し」である、というところでしょうか。

私は自分が撮る人を愛している。友達だと思っているんだ。

7. “I love the people I photograph. I mean, they’re my friends. I’ve never met most of them or I don’t know them at all, yet through my images I live with them.” – Bruce Gilden

ブルース・ギルデンの言葉。全訳は「私は自分が取る人を愛している。友達だと思ってるんだ。殆どの人とは今まで会ったことはなかったし、全く知らなかったりもするけど、私の写真を通じて共に生きているんだ。」となります。これも被写体への愛を強調した言葉ですね。

写真を撮っていると突然創造的瞬間が訪れる。(中略)瞬間だ。一度逃すと、永遠に過ぎ去ってしまう。

8. “There is a creative fraction of a second when you are taking a picture. Your eye must see a composition or an expression that life itself offers you, and you must know with intuition when to click the camera. That is the moment the photographer is creative. Oop! The Moment! Once you miss it, it is gone forever.”- Henri Cartier-Bresson

アンリ・カルティエ=ブレッソンの言葉。長いので見出しでは一部割愛しましたが、全体としては「写真を撮っていると突然創造的瞬間が訪れる。人生そのものが提供する構図や表現が目に飛び込んできて、シャッターボタンを押すべき瞬間が本能で分かる。それこそが、写真家が創造的である瞬間なんだ。いいか、瞬間だ。一度逃すと永遠に過ぎ去ってしまう。」となります。”決定的瞬間”でお馴染みのアンリ・カルティエ=ブレッソンならではの言葉ですね。どんなときも常に写真が撮れるように備えておくことの大切さを教えてくれます。

見るだけでは不十分だ。何を撮るかを感じなくてはならない。

9. “Seeing is not enough; you have to feel what you photograph” – Andre Kertesz

ケルテース・アンドルの言葉。緻密な構成と計算されたデザインを得意とした彼ならではのこだわりが感じられます。やはり見るだけではなくて、自分がどう感じるかが大事だということですね。

自分自身であれ。例え下手くそでも、他の誰の作品にも似ていないものが見たいんだ。

10. “Be yourself. I much prefer seeing something, even it is clumsy, that doesn’t look like somebody else’s work.” – William Klein

ウィリアム・クラインの言葉。独創性の大切さを教えてくれますし、下手でもいいから自分らしさを出すんだという強烈なメッセージでもあります。

まとめ

それぞれ偉大な写真家ですので、一言だけを引用してきてストリートスナップの極意を導き出そうなんてことはおこがましいですしそもそも不可能なわけですが、それでもいくつかの共通点が見られたのは面白いと思います。

  1. 自己投影
  2. 被写体への愛・リスペクト
  3. 独創性

まず1の自己投影は、写真には自分が見て感じたものが反映されているということです。そこにいてそちらにカメラを向けてシャッターを切った以上、完全に客観的な写真なんてものは存在しないわけで、そこに見え隠れする「自分」をどのように表現するかという点に過去の巨匠たちも腐心した様子が伺われます。

そして2の被写体への愛。被写体への愛やリスペクトも自分が感じた感情であるという点では1の自己投影と重なる部分もありますが、被写体を大切に思うことの重要さを複数の写真家が説いています。ストリートフォト(特にポートレート)で言えば、ビクビクしながら隠れて撮った写真よりも、被写体に近づいて、時には会話をして、撮った写真が魅力的に感じるのは当然のことでしょう。撮る方も撮られる方もお互いに気持ちよく、というのが大切です。

そして3の独創性。これも1の自己投影と重なりますが、自分が他の人とは違うんだということを重視しているという点が特に重要だと感じたので敢えて別の項目としました。小手先のテクニックのことだけではありません。写真に投影される自分の感情や被写体への愛。それが他の誰とも違う、自分だけのものだという強烈なメッセージを放つような写真を撮れるようになりたいものです。

個人的にとても学ぶことが多い記事だったので和訳とともに引用させていただきました。長文になってしまいましたが、読んでいただいた方にも少しでも響く部分があれば幸いです。それでは、これらを踏まえて今日もCapture the MOMENT!