「プロの目」はやはりすごかった!プロと素人では写真の見方に具体的な違いがあるよ、という話。

こんにちは!プロの写真家は、写真を「納品」しなければいけないので、ただ撮るだけでなく撮った後の商品の吟味が重要なのは想像に難くありません。しかし、その具体的な方法については言葉で伝えにくい部分もあるのか、なかなか我々アマチュアが一朝一夕に身につけられるものではなさそうです。

今回は、プロの写真家が自分の写真をどれくらい細かく見ているかを具体的に計測した面白いYoutubeビデオを発見したので紹介させていただきます。

概要

被験者は、下の写真を見せられます。

TestImage

被験者と写真の距離、そして写真の大きさは下の写真のような感じです。被験者の目の動きはアイトラッキング技術でトレースされます。目の動きは左下のモニタに赤い線でリアルタイムに表示されます。

Example1

この”実験”(実際にはこれはキヤノンのプリンタのCMなので科学的な実験と呼ぶのには抵抗がありますが)では、写真を撮ることのない人(non-photographer)、写真学校の学生、そしてこの写真を撮ったプロの写真家の3人がこの写真をどのように見ているかを可視化し、比較しています。

写真を撮ることのない人(non-photographer)のことを以下では簡単のために素人と書きます。ここではアマチュアとか初心者という意味ではなく、普段全く写真を撮らない人という意味で使っていることをご了承ください。

それぞれの被験者の結果の比較

さてこうして可視化した目の動きを3人の被験者で並べて見てみましょう。

Result

左が素人、真ん中が写真学校の学生、右がプロの写真家です。右に行くにつれて(写真撮影の習熟度が増すにつれて)、細かく目を動かして写真を観察していることが分かりますね。同じ時間内での目の動きは素人の場合が212回、学生の場合が445回、プロが1197回とダントツでプロが多いという結果になりました。素人は写真中の物体を一通りなぞるように見るだけで終わるのに対し、プロは非常に細かく何度も何度も被写体を行ったり来たりしながら見比べているようです。

面白いのは、プロの写真家の目の動きが写真の四隅にまで行き届いていることです。「四隅にまで気を配れ」とは写真撮影の教科書にはよく書かれていることでは有りますが、実際にプロがそのように自分の作品を見ていることを目の当たりにすると身の引き締まる思いがしますね。

Overlay

上の図はプロの目の動きを写真の上に重ねて示したものです。目の動きが写真の隅々まで行き届いていることが分かりますが、さらに目の動きが被写体の顔と両手の上を非常に細かく動いていることが見て取れます。この方がこの作品で表現したかったのは、被写体の顔と手の表情だったのだということが想像されます。更に面白いことに、動画で見てみると、この目の動きはただ写真を上から下にと舐めるように見るのではなくて、被写体の顔から背景の機械へ、背景から右手へ、というように、メインの被写体と背景を見比べるように動いていることが分かります。コントラストや露出の違いを確認しているのでしょうか。

まとめ

とても興味深い内容だと思ったのですがいかがでしたでしょうか?今回は実験の性質上(そしてプリンタの宣伝という性質上)プリントされた写真を見るときの目の動きでしたが、もちろんプロは撮影時にも被写体と背景を細かく見てベストなアングルと構図を探り、ファインダーを覗いては同じように細かいチェックを繰り返し、また撮影した写真のチェック、現像、プリント時にも同じような目を持って自分の作品を吟味しているはずです。

ちょっと残念なのは、この”実験”におけるプロが「写真を撮った本人」であるために、純粋にプロと素人の写真を見る目を比較するものになっていない点です。この動画の趣旨は、”obsessity test”、すなわちプロの写真家が自分の撮った写真の細部にどれだけ”執着”しているかを示すことで、このプリンタはそのプロの目に応えられるものですということをアピールするものです。したがってこれはこれで宣伝としてはいいのですが、ぜひ「この写真を撮った人ではないプロの写真家」がこの写真をどのように見るのかを見てみたいものです。

みなさんは自分の写真をそれくらい細かく見ていますか?撮ったままになってしまっていませんか?もちろんそんな細かいことを気にせずに最初の被験者のように写真を楽しむのも大切なことです。でも、プロの写真家との具体的な違いを定量的に示された以上、写真家として成長するためには、少なくとも作品として仕上げるときにはこのような厳しい目で写真を細部まで見ていくことが大切なのかもしれませんね。

実際の動画は以下からご覧になれます。英語ですがこの記事を読んでいただいた後なら難なくわかると思います。