写真集を買ったことありますか?ロバート・フランクの”The Americans”を買ってみたらすごくよかったよ!

全国の写真愛好家の皆様こんにちは!突然ですがみなさんは写真集を見たことはありますか?購入したことは?私は恥ずかしながらこれまでにちゃんと写真集というものを見たことがありませんでした。今回は、写真史に残る傑作と名高いRobert Frankの”The Americans”という写真集を購入してみましたのでその動機と感想などについて書いてみたいと思います。

なぜ写真集が欲しくなったのか?

今回写真集を買ってみようと思い立ったのには、大きく分けて2つの理由があります。

理由①:プリントへの興味と関心

写真を自分で撮って自分で見るようになり、また他の方のブログやSNSを通じてたくさんの素晴らしい写真を拝見したりするようになりました。また不定期ではありますが電子書籍としてカメラ雑誌を購読しています。こちらでは読者からの投稿写真のほか、プロの先生方の写真を拝見することもできます。

このように、幸いにも他の方が撮った写真を拝見する機会は多々あるのですが、ふと気づいてみると、私は日常的に目にする写真のほとんどを、ディスプレイ上で見ているのです。プリントした写真を見る機会は自分のフォトブックを見るときくらいしかありません。

私が写真を始めたきっかけの1つに、「いくら撮っても物理的に場所を取らない」というものがありました。例えば絵を描くと絵が、陶芸をやると陶器が溜まっていきますが、デジタル写真であればHDDの容量を食うだけで物理的に場所を取らないのです。この安心感が撮影技術の向上に確かに役立つということは以下の記事に書きました。

「何枚撮っても大丈夫」な写真管理環境はデジタル写真上達への近道となるはず、という話

2015.06.23

それもあって最初は写真をプリントすることには全く興味がなかったのですが、フォトブックを毎年作成するようになって、一枚の画として写真を大きくプリントしてみることにすごく興味が湧いてきたのです。

Blurbのフォトブックが届いたのでレビューしてみる!

2015.10.09

写真を長くやってらっしゃる方はみなさん口を揃えて「写真はプリントしてなんぼ」とおっしゃいます。そうなってくると、やっぱりプリントされた写真を見てみたいと思うのが人情ではないですか。もちろん、ちゃんとしたプリンターで刷った写真と、書籍化された写真集の写真とでは印刷のクオリティーが異なることは理解しています。でも、「プリントした写真の良さ」を味わえるものとして、まずは写真集を買ってみようと思ったのです。

理由②:「多くの人がいいと思ったもの」を多く見る

私があなたの写真を撮る理由。あるいは記録と表現の間にあるもの。

2015.12.24

上の記事では、自分の私的な体験としての写真撮影と写真鑑賞の素晴らしさを書きましたが、一方で「多くの人に良いと思ってもらえる写真を撮りたい」という欲ももちろんあるのです。そのためにはやはり「今までに多くの人がいいと思ったもの」を多く見ることが大事なのだと思います。

カメラ雑誌やSNSに断片化された写真だけではなく、一人の写真家が人生をかけて撮影した集大成としての写真集を手元において、折あるごとにじっくりと見つめ、味わうことで、自分の撮影にもよい影響が起きるのではないかと期待したというのが第2の理由です。

Robert Frankの”The Americans”

そういうわけで今回はRobert Frank(ロバート・フランク)のThe Americansという写真集を購入しました。

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興奮してビニールを開けたら表紙をちょっと破いてしまった…。AMERICANSのMのところです。

フランクは、スイスに生まれ、後にアメリカ合衆国に移住した、「現代を代表する写真家の一人」(Wikipediaより引用)です。”The Americans”は彼の代表作で、後の写真家に多大な影響を与えたと言われています。

写真家のロバート・フランクは、カメラ機材と真新しいフィルムを携え、グッゲンハイム財団の奨学金を受けて1955年から56年にかけてアメリカ中を駆け巡った。この撮影紀行から持ち帰った写真の数々は、当時のアメリカを忠実に描写し、その後辿ることになる道を暗示している。(中略)混沌とした人種間の緊張状態の中にも魅惑的な美しさを見出し、そして恐らく旅路にあったことが理由であろう、アメリカ人の車への愛着には特に共感を示している。

Amazonの商品説明より引用(中略は筆者による)

本当は森山大道、木村伊兵衛といった日本人写真家の写真集を買ってみたかったのですが、現在アメリカにいることもあり、日本で購入するよりも安価で買える写真集を選びました。スイス生まれの「外国人」であったフランクが、1950年代のアメリカをどう見て、どう写したのかが、同じく「外国人」として2010年代のアメリカにいる私にどのような刺激を与えてくれるのかにも興味があったのです。

感想

届いた写真集を手に取った瞬間、「買ってよかったな」と思いました。22ドル(2600円ほど)で購入したのですが、ハードカバーで高級感が有り、使われている用紙も光沢と厚みのある上質なものです。プリントの質も悪くありません。

以下、敢えて斜めから撮影した写真をもって引用とさせていただきます。

全ての写真を眺めてみて、まず感じたのは、フランクがアメリカ人の生活に密着し、それを残そうとしていたということです。当時の市井の人々の自然な表情をストレートに捉えています。

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もちろんただの記録写真ではなく、現代写真の礎となるような試みも垣間見られます。例えば下の3枚の写真では対称性に対する強いこだわりが感じられます。

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また、下の写真では予めこの構図が頭にあって、矢頭の位置に人が来るのをじっと待っていたと推察されます。

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これらの写真を撮るとき、フランクは車でアメリカ中を旅していました。そのことからか、路上の写真や車・バイクの写真が多いのも特徴的です。

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見ていると、戦後にさらに急速に勃興していくアメリカという国の力強さと、その劇的な変化に対するアメリカ人の多少の戸惑いのようなものが感じられました。「アメリカ人」というタイトルの通り、一般の人を、小細工無しで、ストレートに真正面から撮った印象的な写真が多く、良い刺激を受けることができました。これからも教科書的に何度も何度も見直すことになる一冊となりそうです。

他の写真はこちらなどからご覧になれます。気に入ったらぜひプリントされた写真集を手にとって見て下さい。おすすめです!