こんにちは!前回の記事でX-Pro1を購入したことをお伝えしましたが、今回初めて外に持ち出してみたので作例を交えて使用感などをレビューしてみたいと思います。
今回の写真は全てパンケーキレンズXF27mmF2.8を使用して撮ったものです。まだそれしか持っていないもので…。写真は全てJPG撮って出しです(傾き補正のみしています)。クリックでFlickrに飛びますので等倍で見てみたい方はどうぞ。
作例
電車で市街地へ。赤、緑、黄色が色濃く出ています。
F2.8, 1/50s, ISO 800
非常に抜けが良いクリアな写真が得られる印象があります。フィルムシミュレーション・ベルビアで撮影しましたが、色乗りがこってりとしていて大変印象的です。
F9.0, 1/350s, ISO 400
ベルビアでは赤の発色が強いという印象を受けました。いい感じです。
F3.2, 1/150, ISO 200
帰ってきて写真を拡大して驚きました。すごい解像力です。石の質感の描写も非常に素晴らしい。
F5.6, 1/250s, ISO 800
こういう直線的な被写体も実にピシっと端正に写し出してくれます。
F5.6, 1/250s, ISO 800
これはレンズの問題でもあると思いますが、近接撮影はちょっとAFが合いにくいですね。設定でMACROを選択しなければ近接撮影ができないのもちょっとマイナスポイントです。レンズ側で切り替えられる方が早いので。
F5.6, 1/210s, ISO 400
OVFではブライトフレームと言って撮影範囲を示す白い枠が表示されるのですが、結構便利です。もちろんパララックスがあるので完全に正確ではないのですが、このレンズの画角では概ね信頼できると感じました。何が便利かというと、ファインダーを覗いていても撮影範囲の外が見えるということ。これにより、フレーミングを整えた後で、ファインダーを覗いたままで通行人が歩いてくるのが確認できるので、もう少し待つとか、今すぐ撮ったほうがいい、といった判断がしやすくなります。
F5.0, 1/125, ISO 400
横断歩道を渡っている途中で撮りました。遠景までバシッと解像していて、本当に偽色が見られません。X-Transセンサーの解像力には舌を巻くばかりです。この写真、個人的には今回の一番のお気に入り。
F5.6, 1/300, ISO 800
問題点
さて早速2時間半で250枚ほど撮ってきたのですが、何点か問題点も見えてきたのでまとめておきましょう。

絞り値が勝手に変わる
まず、X-Pro1にはモードダイヤルがありません。絞り値はレンズの絞りリングで、シャッタースピードはボディ上部のダイヤルで変更し、絞りがオートの時はシャッタースピード優先、シャッタースピードがオートの時は絞り値優先、両方オートだとPモード、両方オートでないとマニュアルモードという風になります。これ自体は非常によく設計されていてお気に入りです。
ただ、この絞り値がよく変わってしまうのです。今回使用したXF27mm F2.8はパンケーキレンズで、レンズに絞りリングが付いていません。そのためボディに付いているコマンドダイヤルで絞り値を設定するのですが、絞り値オートの隣がF16、その隣がF14となっていて、Pモードで撮影していたつもりが、ちょっとダイヤルに触れたせいでF16やF14で撮影していた…なんてことが何回も起こりました。
同様の問題は絞りリングが付いている他のレンズでもよく起こるようです。パンケーキレンズでは難しいかもしれませんが、絞りリングが付いている他のレンズではオートに物理的にロックできる機構があるとなお良いと感じます。
EVFの色味が青かぶりしている
EVFは最近のミラーレスレンズでもなお技術的な進化が進んでいるパーツですので、4年前に発売されたX-Pro1のEVFにはあまり期待していませんでした。私にとって初めてのEVF搭載機ということも有りますが、実際には遅延もそれほど気になりませんし、視認性も悪く無いと感じました。
しかし、1点気になるのは色味です。EVFで見た時の映像は明らかに青が被っており、実際の色が確認できません。EVFはフレーミングのため、と考えたほうが良いでしょう。繰り返しますが、視認性は良いですし、各種パラメータをチェックしたりできるのは便利です。
モニターの色再現性が悪く写真の確認が難しい
EVFが色かぶりしていると書きましたが、モニターの色再現性もあまり良くないと感じました。私のPCモニターもちゃんと校正しているわけではありませんが、5D3やGRの画面で見たときとほぼ同じように見えるのに対し、X-Pro1ではかなりずれているようです。実際、最初に撮ってカメラで確認したときには「あれ?」と思ったのです。PCに移して確認してみると素晴らしい画質でした。モニターもピントが来ているかと構図のチェックくらいの用途にとどめておいたほうがいいかもしれません。
一番困るのは露出のチェックが難しいことです。今回もちょっと露出が適正でないものが多かったです。ヒストグラムをチェックするとともに、モニターの癖ももう少し掴んでいきたいと思います。
近接撮影時にマクロモードを選択しなければならない
上でも少し触れましたが、近接撮影時にボタンを操作してマクロモードを選択しなければならないのは結構めんどくさい。富士フイルム自身もAFが遅いことは自覚していて、フォーカスの距離を切り分けることで少しでもAFを早くしているのだと思いますが、この切り替えが物理的スイッチでできるともう少しいいのになぁと思います。
良い点

画質が素晴らしい
期待通りやはり画質には息を呑むものが有ります。解像度と色が素晴らしい。また、質感の再現が非常にリアル。目の前にそれがあるようです。前の記事でホームランバッターという表現をしましたが決して間違いではありませんでした。癖をつかめば打率はまだまだ上げていけそうです。
ファインダーはやはり正義
ファインダーを覗いて撮るのはやはり楽しいです。特にEVFとOVFのハイブリッドファインダーは適材適所で使い分けていくことができるのでとても便利です。このOVFとEVFの切り替えにどれくらいタイムラグがあるのかが心配だったのですが、とても早いので気軽に切り替えられます。
撮影時の設定ですが、現在は基本的にマニュアルフォーカス+OVFの設定にしてあります。MFモードでもAE-L/AF-Lボタンでの親指AFが可能なので、これでAFをしています。ここでコマンドダイヤルを押すとEVFに切り替わってAFポイント部が拡大されます。ピントが合っていれば被写体の縁がピーキング表示されるので確認できますし、合っていなければそのままフォーカスリングを回せばピーキングを頼りにピントをあわせることができます。慣れてくれば直ぐにできますし、そもそもそれほどAFが外れることは無いので結構軽快に撮影できます。
AFはそんなに遅くないし正確
発売当初には散々叩かれたAFですが、その後の度重なるファームウェアアップデートによりかなり改善されているようです。レンズの差もあるのでボディの性能の違いということはできませんが、5D3よりは遅いですがGRよりすごく遅いということはないと思います。上述したピーキング表示によるMFも可能なので、ピントを追い込めるという点ではむしろ使いやすいと感じました。
おまけ

上の写真を撮った後に、50代と思しきおじさんに話しかけられました。曰く「今写真を撮っている君を撮らせてもらったよ」と。とても感じのよいおじさんで、被写体としての私に撮影の事後報告をしてくれたのか、同じく写真撮影を楽しむ仲間として声をかけてくれたのか、おそらくその両方だと思いますが、少し立ち話をしました。
その写真を見せてくれたのですが、驚いたのは写真そのものより、そのカメラです。なんとX-Pro1だったのです。驚いて「つい最近このカメラを入手したから、今日初めての撮影をしているんだ」と説明すると、「とても良いカメラだよ!」と満面の笑顔で太鼓判を押してくれました。そのおじさんはXF35mmF1.4 Rを使っていました。次に欲しいと思っていたレンズです。
ここまでですでに十分にこのカメラの虜になっていたのですが、またこのカメラを好きになる理由が1つ増えました。素敵な出会いに感謝しつつ、この日の撮影を終えました。今後はX-Pro1でのスナップも楽しんでいきたいと思います。